僕のおすすめ書籍
こんな方におすすめ
・読みたい本がない
・通勤(通学)時間に読書したい
僕のおすすめ書籍は「記憶屋」です
記憶屋は映画化もされています。
記憶屋の概要
著者:織守(おりがみ)きょうや
出版:角田ホラー文庫
掴み(記憶屋Ⅰ p5~p9)
「記憶屋」という都市伝説を遼一(りょういち)が初めて聞いたのは、小学校にあがる前のことだ。
夕暮れ時、公園の緑色のベンチに座って待っていると、記憶屋が現れる。
そして、消してしまいたい、どうしても忘れられない記憶を、消してくれる。
近所の老人たちの間では有名な話だった。
遼一の祖母なども、誰かがうっかり物忘れをすると、「記憶屋が出たかねえ」と言って笑ったものだ。
幼かった遼一は、それを物語として聞いた。三つ年下に幼なじみが怖がるのを、作り話だよ馬鹿だな、と笑ったこともある。
その時は、信じていなかった。
男と子どもが、向かい合って立っている。どちらも顔は見えない。
白い煙。黒い革靴。灰色の布。ひるがえる。遠くで何度かクラクションが鳴る。
伸ばされる腕を見る。
逃げろ。逃げろ。
誰に言っているのか、自分に行っているのか、わからないまま繰り返し、しかし足は凍ったように動かない。
そこでいつも夢は終わる。
ぴろりろりん、と間抜けな高い音が耳元で鳴ったのと、夢の終わりとがほぼ同時だった。
一瞬で、遼一は目を覚ました。
もう夏も終わりだというのに、汗をかいている。
久しぶりに見たその夢は、相変わらず意味不明だった。
意味が分からないのに、何故かいつも、ひどく緊張して目が覚める。
頭を振って顔を上げると、オレンジ色のカバーをつけたスマートフォンが、目の前にあった。
取り上げようと手を伸ばしたが、スマートフォンはさっとそれを避けて、遼一の腕の届かない距離まで移動する。
「・・・・・・マキ」
「遼ちゃんの寝顔撮っちゃった!」
「・・・・・・最近の女子高生は。貸せ」
「やだ」
突っ伏して寝ていたせいで、背中や腕の付け根が軋む。
机から身を起こして肩を回していると、後ろからMacのモニターを覗き込んだ真希(まき)が声をあげた。
「何これ、年表? うわーすごい、こんなのまで作ってるんだ」
寝起きの頭に、少女の高い声は響きすぎる。
顔をしかめ、開きっぱなしだったファイルを閉じた。
けちー、とぼやく真希を無視して、Macそのものもシャットダウンする。
消える寸前までモニターを見ていた真希は、色を抜いた髪の先をいじりながら口を尖らせた。
「1956・・・・・・って書いてなかった今?五十年も前からいるの記憶屋って?」
「噂が最初に流行ったのが五十年前ってだけだろ。都市伝説ってのはそういうもんなの」
立ち上がり、机の上に広げていたノートやメモに類をかき集める。
まとめてクリアファイルにしまいこむと、真希が「秘密主義ー」ち非難する口調で言った。
「その話、結構前から気にしてたよね?遼ちゃんそういうのバカにしそうなのに、信じてるって超意外」
「別に信じてねえけど。俺は、噂って形で人から人へ伝達される情報、っていうコミュニケーションの形態に興味があんの」
嘘だ。
遼一は、記憶屋という都市伝説がでたらめだとは思っていない。しかし、この幼なじみの前で、それを口に出すのははばかられた。
「都市伝説ってのはつまり、出所がわからない噂なんだよ。友達の友達が実際に体験した、とかいう触れ込みで広がるけど、実際にはその『友達の友達』のは絶対辿りつけない。だから確かめようもない。口裂け女とか人面犬とか、皆そうだろ」
「あー、うん」
「そういういかにも作り話っぽい噂が、何で広まるのかとか、広まる過程で、どう変化していくかとか。そういうのを調べてるだけ。大学の課題なんだから、邪魔すんなよ」
「はーい・・・・・・あ、じゃあさークラスの子に聞いてみてあげようか?ほら、女子高生ってそういうの好きだし結構情報集まるかも」
「俺の課題気にしてる場合か。おまえ中間もうすぐなんじゃねえの?」
「あ、忘れてた。数学教えてもらおうと思って来たの!」
「俺は忙しいの」
「寝てたくせに」
遼一は、実際に記憶屋に記憶を消されたと思われる人間を、三人知っている。
そのうちの一人がこの、三つ年下の幼なじみ。河合真希だ。
だからこそ、この件に彼女を関わらせるつもりはない。
遼一は随分と長い間、真希の記憶が欠落していることと、記憶屋の存在とを結びつけなかった。
二つを結びつけて考えるようになったのは、一年前。
「二人目」を知った後だ。
そして、遼一が、都市伝説にすぎないと思っていた記憶屋の存在を確信したのは、「三人目」の存在に気づいてからだった。
~~~~~~~~~~~~続きはご自身でご購入ください~~~~~~~~~~~~~
最後に
いかがでしたでしょうか。
掴みだけでもドキドキしますよね!先が気になりますよね!
僕はこの書籍のおかげで通学時間に退屈しません(笑)
むしろ楽しみになっています。
・読みたい本がない!
・通勤(通学)時間に読書したい!
という方は是非「記憶屋」を読んでいただきたいです!!
多くの方に「記憶屋」の良さが伝われば、と思っています。
本日もご閲覧ありがとうございました!